VIVANTを見て気になった防衛大学校|本当に厳しい?元生徒を送り出して感じたこと

大学と専門

防衛大学校と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。

学費がかからない。
学生手当が支給される。
卒業後は幹部自衛官を目指す。

こうした特徴は比較的よく知られています。

一方で、防衛大学校について調べてみると、

集団生活が大変。
上下関係が厳しい。
自由な時間が少ない。
とにかく忙しい。

そんな話もたくさん出てきます。

実際、防衛大学校の学生自身が、入校当初は分刻みのスケジュールに圧倒されたと振り返っています。防衛大学校では学業だけでなく、訓練、校友会活動、学生舎での共同生活なども学生生活の一部です。

普通の大学生活とは、かなり違います。

では、防衛大学校は本当にそんなに厳しい学校なのでしょうか。

最近、私はあるドラマをきっかけに、改めて防衛大学校について調べています。

VIVANTを見ていると、自衛隊のことが気になってくる

最近VIVANTを見ています。

このドラマには別班と呼ばれる秘密組織が登場します。

乃木憂助や黒須駿、そして長野利彦。

長野利彦は、劇中では防衛大学校を卒業して自衛隊へ進んだ経歴を持つ人物として描かれています。

もちろんドラマです。

でも見ていると、どうしても考えてしまいます。

別班みたいな組織って、本当にあるんだろうか?

気になります。

防衛省の公式見解では、ドラマに登場するような別班という組織について、過去にも現在にも存在していないとしています。

ただし、これは日本には情報活動をする組織がないという意味ではありません。

現実の防衛省には、情報の収集・分析を専門にする情報本部があります。陸上自衛隊にも中央情報隊などの情報関連部隊があります。

考えてみれば当然なのかもしれません。

世界のどこで何が起きているのか。

他国の軍事的な動きはどうなっているのか。

日本にどんな危険が迫っているのか。

国を守るためには、武器や部隊だけではなく、情報が必要です。

そして日本は、かつて大きな戦争を経験した国でもあります。戦前・戦中にも軍事上の情報収集や諜報活動は行われていました。

戦争が終わったからといって、国にとって情報を集める必要性そのものがなくなるわけではないでしょう。

では、現在はどこまで、どんな情報活動が行われているのか。

公表されている組織以外にも何かあるのか。

私には分かりません。

だからこそ、

気になるなあ……。

VIVANTを見ていると、そんなことまで考えてしまいます。

そして自衛隊について調べているうちに、私はある生徒のことを思い出しました。

3年前、防衛大学校に合格した生徒がいました

私の教室から、3年ほど前に防衛大学校へ合格した生徒がいます。

ものすごく頭の切れるタイプだったかというと、私はそうは思っていません。

でも、とても真面目でした。

勉強家で、決めたことをコツコツ続けることができる。

剣道をたしなみ、学校では山岳部に所属していました。

そして何より印象に残っているのが、人柄です。

とてもまっすぐな人間でした。真面目だけれど、ユーモアもある。

仲間にも気を配れる。

先輩や後輩にもきちんと接することができる。

集団の中で、自分だけが良ければいいというタイプではありませんでした。

今になって防衛大学校の学生生活について詳しく調べてみると、

あの子には確かに防衛大学校が合っていたのかもしれない。と思います。

防衛大学校は勉強ができれば合格ではない

その生徒は、確か推薦系の選抜で合格したと記憶しています。

もちろん勉強もしました。

決して最初から飛び抜けて学力が高かったわけではありません。

それでも努力を続け、合格できるところまで学力を上げていきました。

しかし、それと同じくらい力を入れたのが面接です。

自衛隊地方協力本部の方からもアドバイスをいただきながら、何度も何度も練習しました。

私もこれまで、たくさんの生徒の面接練習をしてきました。

高校入試。

大学入試。

推薦入試。

いろいろ見てきましたが、彼ほど完成度の高い面接ができた生徒は、あとにも先にもいません。

志望動機。

自己紹介。

なぜ防衛大学校なのか。

なぜ自衛官になりたいのか。

将来どんな人間になりたいのか。

質問されたことに対して、はっきり答える。

でも、自分を必要以上に大きく見せない。

自己主張しすぎない。

謙虚さもある。

さらに印象的だったのが、他の生徒に面接練習を見られていても、恥ずかしがったり、ふざけたりしないことでした。

完全に面接に集中できる。

これは簡単そうで、なかなかできません。

もちろん最初から完璧だったわけではありません。

練習するたびに少しずつ良くなっていきました。

そして最後の頃には、私は本気で思っていました。

これだけ準備して、この面接ができるなら、不合格になる姿が想像できない。

そこまで仕上がっていました。

現在の防衛大学校にも推薦採用試験があり、一般採用試験でも第2次試験で口述試験や身体検査などが行われます。受験年度によって制度や日程は変わり得るため、必ず最新の募集要項を確認する必要があります。

防衛大学校を目指す高校生には、学力だけでなく、

自分はなぜこの道へ進みたいのか。

ここまで考えてほしいと思います。

面接には、その人が思っている以上に普段の自分が出る

ちょうどその生徒の面接練習をしていた頃です。

教室に、講師のアルバイトを希望する60代の男性が面接に来ました。

教務力は非常に高い方でした。

京都大学の二次試験にも対応できるというほどの学力がありました。

ところが実際に面接してみると、私は採用したいと思えませんでした。

話し方。

人の話を聞く姿勢。

礼儀。

受け答え。

相手への配慮。

学力とはまったく別のところで、いろいろなものが見えてしまいます。

そのとき改めて感じました。

面接の影響力は、とてつもなく大きい。

人は履歴書やテストの点数だけで相手を判断しているわけではありません。

ほんの数十分話すだけでも、その人が普段からどのように人と接しているのかが、意外なほど伝わってきます。

これは面接のテクニックだけでは隠せません。

だから面接練習とは、模範解答を暗記することではないと思っています。

自分は何を考えているのか。

なぜそう考えているのか。

それを整理して、自分の言葉で相手に伝える。

そして相手の話を聞く。

その練習です。

特に防衛大学校は、将来の幹部自衛官を育成する学校です。

将来、人と関わり、人を率いる立場になる可能性があります。

そう考えると、学力とは違う部分を面接で見る意味も分かる気がします。

防衛大学校は、やはり厳しい

では、入校してからはどうなのでしょうか。

ここは調べれば調べるほど、普通の大学とは違います。

防衛大学校では、全学生が学生隊に所属します。

学生隊は単なる寮の自治組織ではなく、共同生活を送りながら、部隊指揮や業務処理の基礎を学ぶ教育組織でもあります。

学生舎で生活する。

清掃する。

服装を整える。

点呼がある。

時間を守る。

訓練する。

大学レベルの勉強もする。

校友会活動もする。

さらに、上級生・下級生との関係もあります。

普通の大学生のように、

今日は授業が終わったから友達と遊びに行こう。

今日は疲れたから昼まで寝よう。

そういう生活とはかなり違います。

実際に防衛大学校の学生からも、時間に追われることや厳しい指導について率直な体験談が出ています。

もちろん、過去には学生間のハラスメントなどが問題になったこともあります。

だから、防衛大学校の厳しさを美談だけで語るつもりはありません。

合わない人にとっては、本当に苦しい環境だと思います。

でも、同じ防大を楽しいと感じる人もいる

ここが、私には非常に興味深いところです。

防衛大学校について調べると、

「厳しかった」

という話がある一方で、

「同期に助けられた」

「仲間がいたから乗り越えられた」

「上級生に支えてもらった」

「同期との絆ができた」

という話も非常に多く出てきます。

そして、私の元生徒もそうです。

今でも、ときどき連絡をくれます。

写真を見せてもらうこともあります。

その姿を見る限り、

とても楽しそうなんです。

私はそれを見ると安心します。

もちろん、写真だけですべてが分かるわけではありません。

大変なこともあるでしょう。

嫌になる日だってあると思います。

それでも、少なくとも彼にとって防衛大学校は、

ただ耐えるだけの4年間

にはなっていないように見えます。

そこで私は思います。

厳しい学校と悪い学校は同じではない

学校選びをするとき、

この学校は厳しい、という情報だけで判断してしまうことがあります。

でも、人によって厳しさの感じ方は違います。

自由を何より大切にする人にとっては、防衛大学校の生活は息苦しいかもしれません。

一人で行動することが好きな人には、常に集団で生活する環境が苦痛になるかもしれません。

反対に、仲間と何かを成し遂げることが好き。

体を動かすことが好き。

自分の役割がある方が頑張れる。

規則正しい生活が嫌いではない。

先輩から教わり、後輩を支えることができる。

そういう人にとっては、同じ環境が充実した場所になる可能性があります。

だから私は、

防衛大学校は厳しいからやめた方がいい

とも、

素晴らしい学校だから行った方がいい

とも思いません。

重要なのは、

その環境と、その人が合っているのか。

そこです。

防衛大学校に向いている高校生とは

3年前の彼を思い出すと、いくつかの特徴が浮かびます。

努力を継続できる。

時間やルールを守れる。

運動することを極端に嫌がらない。

集団生活ができる。

仲間に気を配れる。

先輩から素直に教えてもらえる。

後輩にも気を配れる。

自分の役割を果たせる。

そして、

自分だけが目立とうとしない。

私は意外と、最後の部分が大事なのではないかと思っています。

防衛大学校は、学力だけを競う場所ではありません。

将来の幹部自衛官を育成する学校です。

人を率いるためには、頭がいいだけでは足りません。

人の話を聞く。

周囲を見る。

自分の役割を理解する。

必要なときには前へ出る。

でも、必要なときには誰かを支える側にも回る。

リーダーであると同時に、フォロワーにもなれる。

防衛大学校の学生生活には、その両方を経験する機会がたくさんあるのだと思います。

そして今振り返ると、彼は高校生の頃から、すでにそういう部分を持っていました。

防衛大学校を考えている高校生へ

防衛大学校を志望するなら、偏差値や入試科目だけを調べて終わりにしないでください。

学費がかからない。

学生手当がもらえる。

就職先がある。

それだけで決める学校でもないと思います。

一度、自分に問いかけてみてください。

自分は、そこで4年間生活したいと思えるのか。

そして、受験するなら面接対策も早く始めてください。

きれいな志望動機を作る必要はありません。

なぜ自衛官なのか。

なぜ防衛大学校なのか。

どんな幹部自衛官になりたいのか。

自分には何ができるのか。

反対に、何がまだ足りないのか。

それを何度も考えてください。

そして、自分の言葉で話せるようになってください。

私がこれまで見てきた防衛大学校合格者の中で、最も印象に残っているのは、

何でも簡単にできる人ではありませんでした。

真面目に努力を続け、人への気遣いを忘れず、自分の将来について考え、それを堂々と、でも謙虚に自分の言葉で話せる高校生でした。

私は今でも、あの面接をよく覚えています。

そして時折届く楽しそうな写真を見ると、

あのとき、防衛大学校という進路を選んで良かったんだろうな。

と思います。

VIVANTの長野利彦のような世界が、本当にどこかにあるのか。

別班のような秘密組織が本当に存在するのか。

私には分かりません。

たぶん、これからも気になると思います。

でもVIVANTをきっかけに自衛隊や防衛大学校について調べてみて、3年前に送り出した一人の生徒のことを改めて思い出しました。

防衛大学校について知れば知るほど、

彼が合格できた理由は、学力だけではなかったのかもしれない。

そんなことを、今になって感じています。

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