薬学部と薬剤師のリアル|6年間・学費・国家試験・就職まで知っておこう

大学と専門

薬剤師になりたい。
薬学部に行きたい。

そう考えている高校生に、最初に知ってほしいことがあります。

薬剤師は国家資格です。就職にも強そうですし、安定した仕事というイメージもあります。

でも、薬学部に入れたら6年後にそのまま薬剤師になれる、というほど簡単ではありません。

薬学部には、

学費の壁
学力の壁
進級の壁
国家試験の壁

があります。

今回は、薬学部を目指す前に知っておいてほしいリアルをまとめます。


私立薬学部は6年間で1000万円を超える

まず、お金です。

ここははっきり言います。

私立の6年制薬学部は、6年間の学費が1000万円を超えます。

大学によっては1200万円前後、1300万円前後になるところもあります。

さらに必要なのは学費だけではありません。

教科書。
白衣。
実習用品。
パソコン。
交通費。

一人暮らしなら、家賃や生活費も6年間必要です。

つまり薬学部は、

資格取得までに家族が1000万円以上を負担する進路

だということです。

国家資格だから安心、だけで決めていい金額ではありません。


もっと怖いのは、1000万円払えば薬剤師になれるわけではないこと

ここが薬学部で一番知ってほしいところです。

文部科学省は、入学後に標準の6年間で卒業し、そのまま国家試験に合格した割合に近い数字を大学ごとに公表しています。

その3か年平均は、

59.0%。

です。

つまり全体で見ても、入学した人のうち約6割しか、6年ストレートで国家試験合格まで到達していないということです。

しかも大学差はかなり大きいです。

文部科学省の資料を見ると、

30%を切る大学もあります。

中には、20%前後の大学もあります。

学校名はここでは出しません。

でも、高校生にはこの数字の重さを知ってほしいです。

100人入学しても、6年ストレートで薬剤師国家試験まで合格するのが30人未満。

そんな大学も実際にあります。


国家試験合格率だけ見ても分からない

薬学部のパンフレットを見ると、国家試験合格率が高く見える大学もあります。

例えば新卒合格率90%。

これを見ると、ほとんどの人が薬剤師になれているように感じます。

でも、その前に、

留年した人。
退学した人。
6年間で卒業できなかった人。

がいる可能性があります。

だから薬学部を見るときは、

国家試験を受けた人の合格率

だけでは足りません。

見るべきなのは、入学した人が6年後にどうなっているか。

です。

ここを見ないと、大学の本当の姿は分かりません。


入りやすい薬学部が安全とは限らない

ここからは少し厳しい話です。

薬剤師になりたい。

でも模試では厳しい。

化学も苦手。

生物も得意ではない。

それでも薬学部ならどこでもいいから入ろう。

こういう考え方は、かなり危険です。

なぜなら、

入試に受かる学力と、薬学部を6年間やり切る学力は別だからです。

入試科目が少ない。

推薦で入りやすい。

倍率が低い。

そういう大学もあります。

でも、大学に入った瞬間に授業が簡単になるわけではありません。


化学が苦手なまま進学するのは危険

薬学部では、

有機化学。
無機化学。
分析化学。
生化学。
薬理学。
薬剤学。
薬物動態。

などを学びます。

つまり、

化学は薬学の土台です。

高校化学がかなり苦手な状態で進学すると、大学に入ってから苦しむ可能性が高くなります。

高校内容を完全に理解していなくても入学はできます。

でも大学の授業は、高校内容のその先に進みます。

分からないところを放置したままでは、どんどん積み上がっていきます。


生物も軽視できない

薬剤師は薬だけを学ぶ仕事ではありません。

薬がどこに作用するのか。

なぜ効くのか。

どんな副作用が起こるのか。

それを理解するには、

人体。
細胞。
遺伝子。
酵素。
免疫。
臓器。

などの知識が必要です。

だから生物も重要です。

もちろん高校生の時点で完璧である必要はありません。

ただ、

化学も生物も嫌い。勉強もあまりしたくない。でも資格が欲しいから薬学部。

これはかなり危ない選択です。


文科省も基礎学力不足を問題にしている

これは僕の感想だけではありません。

文部科学省も、薬学部では一定以上の学力を持った学生を入学させることが重要だとしています。

留年が多い大学では、基礎学力不足が大きな要因の一つとして指摘されています。

つまり、

大学に入れてしまえば、その後は本人が何とかするだろう。

では済まないということです。


薬学部は入れる大学を探す学部ではない

高校生は受験になると、

どこなら入れそうか。

を考えます。

当然です。

でも薬学部では、それだけでは危険です。

僕なら、

入れるかどうかより、6年間ついていけるかどうか

を重視します。

合格しても、進級できなければ意味がありません。

卒業できなければ、国家試験を受けられません。

その間も私立なら高額な学費がかかります。


留年は数百万円単位の問題になることもある

例えば年間200万円前後かかる大学で、1年間留年したとします。

大学によって制度は違いますが、追加で大きな学費負担が発生する可能性があります。

6年が7年になる。

場合によっては8年になる。

これは、

卒業が少し遅れる。

という話ではありません。

時間とお金の両方を失う可能性がある。

という話です。

だから薬学部では、留年率やストレート合格率まで確認する必要があります。


じゃあ薬学部はやめた方がいいのか

そんなことはありません。

薬学部には大きな魅力があります。

薬という専門知識を身につけられる。

人の健康や命に関われる。

国家資格を取れる。

病院。
薬局。
ドラッグストア。
在宅医療。
企業。
行政。

さまざまな働き方があります。

本気で薬剤師になりたい人には、十分に価値のある進路です。


ただ、安定だけを理由にするのは危険

国家資格だから。

就職に困らなそうだから。

親に勧められたから。

なんとなく医療系だから。

この理由だけなら、一度考えた方がいいです。

私立薬学部なら、

学費は1000万円を超えます。

6年間あります。

化学や生物を中心に、かなり勉強します。

そして大学によっては、

6年ストレートで国家試験合格まで到達する割合が30%未満。

そんな現実もあります。

なんとなくで進むには、重すぎる進路です。


薬学部を選ぶなら、この4つは絶対に見る

僕なら最低でも、ここは確認します。

① 6年間の学費

② 6年間で卒業できる割合

③ 標準修業年限での国家試験合格率(ストレート合格率)

④ 留年・退学の状況

偏差値だけでは足りません。

国家試験合格率だけでも足りません。

一番大事なのは、

入学した学生が6年後にどうなっているか。

です。


薬学部は入れたら勝ちではない

薬剤師を目指すこと自体は、とても良い進路だと思います。

でも薬学部は、入試に合格したら終わりではありません。

私立なら、

学費は1000万円を超えます。

そのうえで、

6年間勉強する。

進級する。

実習をこなす。

卒業する。

国家試験に合格する。

ここまで進んで、初めて薬剤師です。

そして現実には、

6年ストレートで国家試験まで合格する割合が30%を切る大学もあります。

だから、

薬学部ならどこでもいい。

ではなく、

自分の今の学力で、本当に6年間やっていけるのか。

ここを真剣に考えてください。

化学が苦手なら、今からやる。

生物が弱いなら、今からやる。

勉強習慣がないなら、高校生のうちから作る。

それでも薬剤師になりたいと思えるなら、本気で目指していいと思います。

1000万円以上払ってから自分には合わなかったと気づくより、高校生の今、本気で考える。

それが薬学部を選ぶ前に知っておいてほしい、一番大事なことです。

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