大学受験の進路相談をしていると、毎年秋になると必ず出てくる言葉があります。
公募推薦です。
でも、この公募推薦。名前だけを聞くと少し分かりにくい入試です。
推薦というくらいだから、面接をしたり、志望理由書を見てもらったり、高校時代の活動を評価してもらったりする入試を想像する人もいると思います。
ところが関西の私立大学では、英語・国語、あるいは英語・数学などの学力試験がかなり重要な公募推薦が多くあります。
例えば2027年度の近畿大学の推薦入試(一般公募)は、多くの学部で2教科2科目。龍谷大学の公募推薦も文系型なら英語と国語を受験します。
推薦という名前なのに、結構普通にテストを受けます。
初めて制度を見る高校生や保護者が少し混乱するのも無理はありません。
目次
- 公募推薦は推薦だけど筆記試験が重要
- なぜ11月に大学入試をするのか
- 受験生にとって公募推薦は大きなお守りになる
- 大学側から考えると公募推薦もなかなか合理的
- 公募推薦は情報を知っている人がかなり有利
- 必ず確認したいのは過去の入試結果
- 英検や評定が思わぬ武器になることもある
- 志望校はできるだけ早く決めた方がいい
1.公募推薦は推薦だけど筆記試験が重要
公募推薦は正式には学校推薦型選抜の一つです。
高校から推薦を受けて出願しますが、大学によって選考方法はかなり違います。
中でも関西の私立大学には、筆記試験の比重が大きい大学が少なくありません。
近畿大学では2027年度の推薦入試(一般公募)について、原則として2教科2科目で実施するとしています。例えば法学部なら英語100点と、国語または数学100点です。
龍谷大学の公募推薦も、文系型なら英語と国語の試験があります。
だから私は生徒に説明するとき、推薦ではあるけれど、かなり筆記試験勝負に近いよ
と伝えることがあります。ここを勘違いすると危険です。
推薦だから学校の成績が良ければ何とかなる、面接を頑張れば何とかなる、とは限りません。
大学ごとの配点や判定方式を確認する必要があります。
2.なぜ11月に大学入試をするのか
ここから少し大学側の立場でも考えてみると、公募推薦という制度がさらに面白く見えてきます。
文科省のルールでは、学校推薦型選抜は11月1日以降に出願し、12月1日以降に合格発表を行うことになっています。(文科省は2027年度入試(現高校2年生が受験する代)からルールを厳格化することを発表しています。)
つまり一般選抜よりかなり早い。大学側からすれば、2月まで待たずに早い段階から入学候補者と接点を持つことができます。
受験生から見ても、2月の一般選抜まで何も結果がない状態より、12月の段階で一つ合格を持っている方が安心できます。
つまり公募推薦は、大学にもメリットがあり、受験生にもメリットがある制度
とも考えられます。
もちろん大学も入学者を確保したい。受験生も早く合格が欲しい。
お互いの思惑が一致しているわけです。
入試制度を大学側の立場から眺めてみると、結構おもしろいものです。
3.受験生にとって公募推薦は大きなお守りになる
公募推薦の最大のメリットの一つは、一般選抜より先に合格を持てる可能性があることです。
例えば12月に一校合格している。
これだけで2月の入試の心理状態はかなり変わります。
どこにも受かっていない状態で第一志望を受験するのと、
最悪ここには進学できるという大学を一つ確保した状態で受験するのでは、プレッシャーが違います。
私はこれはかなり大きいと思っています。
一方で注意したいのが入学手続です。
例えば京都産業大学の2027年度公募推薦では、12月4日に合格発表があり、入学金の第1次手続は12月21日までとなっています。残りの学費等については2月18日まで猶予があります。
つまり、
合格を確保するために、第一志望の結果が出る前にお金を払う場合があるということです。
公募推薦を受けるなら、試験日だけでなく、
合格発表日・入学金締切・学費締切
までセットで確認する必要があります。
4.大学側から考えると公募推薦もなかなか合理的
大学側の立場で考えてみると、公募推薦はよくできています。
例えば2科目型なら、3科目がまだ完成していない受験生でも受験しやすくなります。
一方で関関同立など上位大学を目指して3科目を勉強している受験生にとっても、2科目なら受験しやすい。
結果として幅広い層の受験生が集まります。
さらに大学によっては、一度の受験で複数の判定を受けられる制度もあります。
近畿大学では、推薦入試でも複数の併願方式を用意し、一回の試験から複数の合格判定を受けられる仕組みがあります。
大学側も受験生に受けてもらうために、かなり制度を工夫しています。
大学入試というと受験生側だけを見がちですが、
大学も受験生から選ばれる側です。だから入試制度には、それぞれの大学の考え方が結構表れています。
そこを調べてみるのも面白いと思います。
5.公募推薦は情報を知っている人がかなり有利
私が公募推薦を調べるとき、一番感じるのがこれです。
大学によって制度が違いすぎます。
同じ公募推薦でも、試験科目が違う。調査書の扱いが違う。高得点科目を重視する方式がある。
英検などの資格を利用できる。複数日受験できる。
一度の試験で複数の学科を判定できる。
去年と制度が変わっている。本当にいろいろあります。
京都産業大学でも、資格や高校在学中の活動を公募推薦の評価に利用する制度があります。
近畿大学でも、2027年度推薦入試で英語外部試験を利用できる制度があります。
だから、
自分は英検2級を持っている。という情報だけでも、大学によってはかなり意味が変わります。
何点に換算されるのか。加点なのか。
当日の英語試験も受けるのか。
大学ごとに確認する必要があります。
6.必ず確認したいのは過去の入試結果
そして、私が進路相談でかなり大事にしているのが、
去年どれくらいの人が受けて、何人合格したのかという入試結果です。
大学案内を読んでいるだけでは、難易度はなかなか見えてきません。
例えば同じ大学でも、
A学部は倍率1.5倍。B学部は3倍。同じ学部でも受験日によって違う。
方式によって最低点が違う。こういうことがあります。
だから志望校が決まったら、
- 募集人数
- 志願者数
- 受験者数
- 合格者数
- 実質倍率
- 合格最低点
- 得点率
この辺りをできる限り確認します。
さらに過去問を解く。
そこで初めて、今の自分ならどれくらい可能性があるのかが見えてきます。
大学名だけを見て、何となく難しそう、何となく受かりそう、と判断するのはもったいないです。
7.英検や評定が思わぬ武器になることもある
公募推薦では、持っている資格が突然かなり強い武器になる場合があります。
代表的なのが英検です。
大学によっては英検2級などを得点換算したり、加点したりする場合があります。
評定平均も同じです。
ある大学ではほとんど影響しない。
別の大学では判定に加算される。
また別の大学では、そもそも一定の評定が出願条件になっている。
だから高3の秋になってから初めて調べるより、
高1・高2の段階から大学入試制度を少し知っておく方が圧倒的に有利です。
英検を取っておく。学校の評定を取っておく。苦手科目を早めに把握する。
それだけで受験できる方式が増える可能性があります。
8.志望校はできるだけ早く決めた方がいい
結局ここに戻ってきます。
志望校は、できるだけ早く決めた方がいいと思います。
もちろん高1の時点で大学を一校に絞る必要はありません。
でも、この辺の大学に行きたい。この学部に興味がある。
この大学群を目標にする。くらいでも十分です。
志望校が見えてくれば、公募推薦があるのか調べられる。
何科目必要なのか分かる。
英検が使えるか分かる。
評定が必要なのか分かる。
過去問も早く見られる。
全部が早くなります。
公募推薦は、単純に11月に受ける入試ではありません。
制度を知って、資格を確認して、過去の入試結果を見て、過去問を解いて、入学手続の期限まで確認する。
ここまでやって初めて受験戦略になります。
大学側もいろいろ考えて入試制度を作っています。
だったら受験生側も、その制度をしっかり調べて利用すればいい。
私はそれでいいと思います。入試は勉強だけではありません。
情報を集めて、自分に有利な戦い方を考えることも受験勉強の一つです。
そして、その準備を始めるのは早いほど有利です。


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