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― 中小企業が耐えられない構造について ―

最近、教育現場で進路相談をしていると、よく聞く言葉があります。

「とりあえず大企業がいいです。」

少し前までは、この言葉に対して「本当にそれでいいの?夢が無いなぁ~」と問い返すことも多くありました。しかし、今の社会構造を冷静に見つめると、この選択は決して短絡的ではなく、むしろ合理的であると感じています。

本記事では、日本社会の構造を整理しながら、なぜ若者が大企業を目指す流れが強まっているのかを考えていきたいと思います。

最低賃金アップという現実

最低賃金の引き上げは、働く人を守るための大切な政策です。
しかし、中小企業の現場では別の現実が生まれています。

最低賃金が上がると、

・時給が上がる
・社会保険負担も増える
・人件費総額が大きく増加する

ここまでは当然の流れです。問題はその先にあります。

多くの中小企業は 価格を上げることができません。

仕事を受ける立場の企業は、『コストが上がったので値上げします』と簡単には言えないのです。
その結果、現場では次のような矛盾が生まれます。

人手不足なのに、採用を控えざるを得ない。

「人は欲しい。しかし雇えない。」

これが今、多くの中小企業が抱えている現実です。

消費税が中小企業に与える影響

消費税は一般的に預かっている税金と説明されます。
しかし実際には、価格転嫁が難しい企業ほど大きな負担になります。

特に中小企業では、

・値上げができない
・取引先から値下げ圧力を受ける
・もともとの利益率が低い

という状況が多く見られます。

例えば、利益の無い企業にとって消費税10%は極めて重い負担です。

つまり、消費税は利益が低い企業ほど強く影響する税制 と言えます。
※法人税は利益がなければ負担が少ない。

社会保険の適用拡大

短時間労働者への社会保険適用拡大は、労働者保護の観点では重要な政策です。

しかし企業側から見ると、

会社負担は約15%増加します。

時給1,000円の人材を雇用すると、実質的な人件費は1,150円以上になります。

しかもこれは固定費です。避けることができません。

大企業は対応できます。
しかし、中小企業では利益が消えてしまう場合もあります。

働き方改革の現実

残業上限や有給取得義務など、働き方改革の理念は非常に重要です。

しかし現場では、

・人員が少ない企業
・一人が複数業務を担う企業

では対応が難しい場合があります。

結果として、

・人員を増やす
・仕事を断る

という選択を迫られます。どちらも企業にとっては大きな負担です。

インボイス制度の影響

インボイス制度により、免税事業者は取引から外されやすくなりました。

実際の現場では、「消費税分を差し引きます」

という形で実質的な値下げが起きています。

交渉力の弱い側が負担を引き受ける構造が生まれています。

DX・電子化の波

IT化・電子化は社会の流れとして避けられません。

しかし中小企業では、

・IT担当者がいない
・投資資金が限られている
・学ぶ時間が確保できない

という課題があります。「やらなければならない出費」が増えているのが現状です。

最大の問題:価格を決められない

ここまでのすべての問題の根本にあるのは、
価格決定権の問題 です。

日本社会は「買い手市場」です。

・元請企業が強い
・大企業が強い
・消費者は値上げに敏感

その結果、

コスト増

下請へ転嫁

中小企業が負担

利益が出ない

投資できない

賃上げできない

採用できない

という循環が生まれます。

日本社会の構造

日本企業の約99%は中小企業です。しかし、価格決定権は上流にあります。

政策自体は合理的でも、
耐えられるのは体力のある企業 です。

その結果、

・大企業はさらに強くなる
・中小企業は淘汰が進む
・若者は大企業を目指す
・地方は弱くなる
・格差は広がる

この流れは感情論ではなく、構造的な現象です。

若者へのメッセージ

「とりあえず大企業がいい」この選択は合理的です。
なぜなら、価格を決められる側が強い社会 だからです。

しかし本当に考えるべきことは、どこの社会構造の中で生きるのかという視点です。

・大企業で働く
・専門職として生きる
・個性豊かで代替不可能な人材になる
・価格を決められる立場に近づく

進路選択は夢だけでなく、社会構造を理解した上で考える時代 になっています。

まとめ

中小企業が悪いわけではありません。
ブラック企業と軽蔑する人もいますが、
中小企業のメンバーは怠けているわけでもありません。
むしろ頑張っています。

構造がそうなっているのです。

だからこそ、これからの若者は進路は構造から考える必要があります。

そして今日も思います。

若者は生産性のよい企業を目指しましょう。

これが今の社会の現実なのです。。。

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