大学進学率50年のデータから見えた現実です。
「とりあえず大学に行けば安心」
進路相談をしていると、この言葉は本当に多く聞きます。
親世代も、先生も、なんとなくそう思っている人が多い印象です。
とりあえず、大学に行ってくれたらあとは子供達が自力で頑張る。
でも本当に、大学に行けば将来は安定するのでしょうか。
今回は文科省の長期データをもとに、大学進学の現実を少し冷静に見てみたいと思います。
大学進学率は50年で5倍になった
まずは事実から。4年生大学進学率。
1960年:約16%
1990年:約48%
現在:約63%
つまり大学は、エリートの進路から半分が行く進路に変わりました。
さらに現在、普通科高校では
・約63%が大学・短大へ進学
・就職は約14%
高校卒業後に働くという選択は、かなり少数派になっています。
大学進学は標準ルートになったと言っていいと思います。
しかし18歳人口は減っている
ここで大事な事実があります。
18歳人口は、現在109万人。
今後は2040年頃までに約88万人まで減少すると予測されています。
人口が減少しながら、進学率は上がっているという事になります。
この組み合わせが意味するのは一つです。
大学が増加。いわゆる「大学全入時代」です。
昔より受験が楽になったと言われるのは、この背景があります。
大学に入ること自体は、確実にハードルが下がっています。
ハードルを下げている大学が増えているという事になるのではないでしょうか。
では大企業の席は増えたのか?
ここが今回の本題です。
大学は増えた。
大学生も増えた。
では卒業後の良い就職先は増えたのでしょうか。
答えはほぼ NO です。
日本の雇用構造は長年ほぼ同じです。
従業員数の割合
中小企業: 約70.1%(約3,200万人)
大企業: 約29.9%(約1,400万人
この割合は大きく変わっていないようです。
つまり
大学進学者は増加
大企業の席は固定
完全に椅子取りゲームになっています。
大卒インフレという現象
この状況を一言で言うと
大卒インフレ
昔は、大卒=上位層
今は、大卒=標準装備
大学に入ること自体の価値は、確実に下がりました。
もちろん大学に行く意味がなくなったわけではありません。
ただし、役割が大きく変わりました。
大学はゴールではなく参加資格
大学は「ゴール」ではなく「前提条件」に変わりました。
理由はシンプルです。
大学進学率が16% → 約63%まで上がり、
大卒が特別ではなく標準学歴になったからです。
昔は大卒かどうかで差がつきました。
今は応募者の多くが大卒です。
企業は大卒かではなく、どの大学か・何をしてきたか。で選びます。
しかも大企業の採用枠はほぼ増えていません。
大卒だけが増えた結果、競争は就活へ移動しました。
つまり大学は安心装置ではなく
競争に参加するためのある種の条件になったのです。
大卒でも保証はない時代
現実はシンプルです。
上位大学→ 大企業に進める可能性あり
中位下位大学→ 中小企業が中心
つまり、大学進学=安定ではない
大学の価値は進学したかではなく
どこに進学し、大学で何を身に付けたか。 に変わりました。
とりあえず大学の危険性
多くの人が言います。
「まだやりたい事がないから大学へ」
気持ちはとても分かります。でも現実は少し厳しいと思います。
昔:大学=選別装置
今:大学=参加資格
目的なく進学すると、4年間の時間と学費を使い
「普通のスタート地点」に立つだけという可能性もあります。
進路は思考停止で決めてはいけない
大学は素晴らしい進路です。
可能性を広げる場所でもあります。
ただし万能ではありません。
重要なのは大学に行くかどうかではなく
どんな人生を目指すのか。
進路を「とりあえず」で決めないこと。
それがこれからの時代、ますます重要になります。


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